緑茶の新茶のように紅茶にもおいしい紅茶が採れるシーズンがあります。各産地に訪れるクオリティーシーズンを知って、年間を通じておいしい紅茶を楽しみましょう。
産地で異なる収穫時期
緑茶の収穫を歌っている「夏も近づく八十八夜」という唱歌を聞いたことがあるのではないでしょうか。立春から数えて88日目の5月初め、新茶の季節が訪れます。緑茶にシーズンがあるように、紅茶にもシーズンがあります。
紅茶の茶樹は亜熱帯から熱帯地方に植生しますが、それらの地域には大なり小なり雨期と乾期が存在します。なかでも品質のよい茶葉が採れる時期であるクオリティーシーズンは、乾期にあたります。香りが命と言われる紅茶は、日をよく当てた方がよいと言われます。なぜなら、香り成分を含むポリフェノールは、太陽光線に当たると大量に生成されるからなのです。したがって、雨期の紅茶は香りがあまりよくなりません。
インド北東部のダージリンやアッサムでは、3月~11月にかけ収穫が行われます。なかでも良品質茶が採れる期間をクオリティーシーズンと言い、ダージリンで大きく3月~4月のファーストフラッシュ、5月~6月のセカンドフラッシュ、後半にまた乾期に入る10月からのオータムナルを含め3つのシーズンがあります。 ダージリンのセカンドフラッシュは、極めて良質なお茶が多く採れる可能性が高いため、例年紅茶ファンの中でも、シーズンが訪れると期待に沸きます。 南インドでは、年間通じて茶摘みができますが、クオリティーシーズンは、12月から翌年の1月~2月の期間になります。
スリランカもまた、年間通じてお茶の生産ができるのですが、南東部の産地であるウバ等の産地では、7月~8月の乾期の後の短い期間に、クオリティーシーズンが訪れます。それとは反対に島の西側にあるディンブラの産地では、10月~1月頃の乾期の後の期間に、クオリティーシーズンが訪れることになります。山脈の頂上にあるヌワラエリアは、両方のシーズンの影響を受けますが、ディンブラシーズンの時がもっとも品質がよくなります。
その他の西ジャワ地方のインドネシアや、東アフリカのケニアなどの熱帯地方の生産地では、年間通じて平均的に紅茶が生産されますが、極端な品質の変化は見られません。
日本人は、緑茶の感覚が強いので、クオリティーシーズンの紅茶には特に思い入れが強いようです。
主な産地のクオリティーシーズン
●インド
ダージリン
ファーストフラッシュ 3月~4月
セカンドフラッシュ 5月~6月
アッサム
セカンドフラッシュ 5~6月
ニルギリ
1月~2月
●スリランカ
ヌワラエリア
2月~3月、8月~9月
ウバ
8月~9月
ディンブラ
2月~3月
ミディアム・グロウン
12月~4月
ルフナ
12月~4月
●ジャワ
ジャワ
6~9月