ワインのソムリエが脚光を浴びていますが、あまり知られていないティーテイスティングの世界。本格的なティーテイスティングについてご紹介いたします。
紅茶鑑定士に聞く ティーテイスティングの実際
紅茶は実に多くの種類があり、それぞれ味も香りも異なります。同じ産地でも、毎年、茶園や季節によって、まったく違う性格になるため、ティーテイスターによって、品質が見分けられていきます。その上で、日本のような消費地のティーテイスターは、産地から送られてくるサンプルをテイスティングし、オークションで競り落とすための価格を決めていきます。
なかなか一般の方には、多くの茶葉を一度にテイスティングできる機会はありませんが、数種類の茶葉にしぼってテイスティングをし、産地やシーズン、グレードの性格を知っておくと、より紅茶の楽しみが広がることでしょう。
今回は、神戸紅茶(株)紅茶鑑定士、米山欣志さんに本格的なティーテイスティングについて教えていただきました。
ティーテイスティングの手順
1、茶葉を計っていきます
計りで3gの茶葉を用意します。
2、茶葉をカップに入れます
計った茶葉を順番に入れていきます。
3、お湯をカップに入れます
沸騰直後のお湯を専用カップに入れていきます。
4、茶葉を蒸らします
フタを閉じ5分間蒸らします。時間はストップウオッチで正確に計ります。
5、紅茶をボウルに注ぎます
蒸らし終わったカップをたおし、ボウルに紅茶を注ぎます。
6、茶殻をカップのフタの上に置きます
濡れた茶殻をカップのフタの上におき、水色と比較をしやすくします。
7、茶葉をチェックします
形や色艶を見て葉の硬さなど、手触りを確かめます。
8、水色を見ます
並んでいるボウルから水色をチェックします。ダージリン等の中国種は比較的水色が薄く、アッサム種の中でもCTC製法の茶葉は濃い水色になっています。濃い水色のもので、ミルクティー用の茶葉は、ミルクを混ぜてチェックをすることもあります。
9、紅茶をテイスティングします
スプーンで紅茶を口いっぱいに広がるように吸い上げて、吐き出します。 鼻腔周辺まで吸い上げることによって、腔内にも香りが広がり、風味とあわせて、正確に判断しやすくなります。
10、香りをかぎます
カップを鼻に近づけ、カップ内に充満している香りをチェックします。
11、茶葉を評価します
茶葉を評価し、オークションで競る価格を決めます。ティーテイスターは、素早く良い茶葉かどうか判断し、価格を決めていきます。優秀なティーテイスターになると、その年の産地の出来と市場の動向を判断し、オークションで競り落とされる価格に近い値段をつけることができます。
毎年異なる茶葉を正確に判断するティーテイスターは、英国でも非常に尊敬される職業です。ティーテイスターはブレンダーを兼任するケースも多く、茶葉を判断した上で、適切な分量で茶葉のブレンドを行います。紅茶はその年の気候によって、品質の変動が激しいため、同じ産地でも多くの紅茶のメーカーがブレンドをして、品質を安定させています。さらに、異なる産地の茶葉をブレンドさせて、新しい商品を作ることは、日本でもほんの一握りの専門家にしかできない高度な技術だと言えるでしょう。
奥の深い紅茶の世界の裏側を少し知っていただけましたでしょうか。一度ティーテイスティングをしたいという方は、紅茶専門店でティーテイスティングセットを売っていますので、代表的な茶葉から少しずつ試していくとよいでしょう。きっと、新たな茶葉との出会いが訪れるに違いありません。